【イベントレポート】クリエイティブディレクター服部滋樹氏トークイベント「社会を翻訳するデザイン」〜今社会に必要なデザインとは?〜

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先日、京都天狼院(元インターン先)にてgraf代表服部滋樹さんのトークイベントが開催されました。

たくさんの方にご来場いただき、熱気あふれる会場となりました!

 

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ご来場ありがとうございました!

今回はそのイベントの様子をご紹介させていただきます。

 

デザインという言葉から、みなさん何を想像しますか?

街にあふれるポスター?

商品のパッケージ?

ファッション?

雑誌?

 

そのどれもが正解なのですが、実は「デザイン」という言葉の定義は年々広がってきています。

デザインとは、こう言った物の表面だけを指す言葉ではなくなってきているのです。

 

そこで、今回はデザイナーでありながら地域ブランディングを行うなどデザインの領域を超えて活動をされているgraf服部滋樹さんにお越しいただき、「社会を翻訳するデザイン」というトークテーマでお話をしていただきました。

 

 

今回はお話をお聞きするだけでなく「直感讀みブックマーカー」というワークショップを行いました。

 

まず、参加者のみなさんには、それぞれ交換してもいい本を一冊持ってきてもらいました。

 

まず4、5人で一つのグループを組みます。

そして、服部さんから「愛とは?」というトークテーマが出題されます。

 

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参加者のみなさんは、「愛とは、愛とは……」とつぶやきながら目を閉じて頭上で本をめくり、ここだ! と思ったところを指差してもらいます。

トークテーマは事前にお伝えしていないため、愛に関係のある言葉が出てくるとは限りません。

そして、みなさんそれぞれが指差した一節がなぜ「愛とは」になるのかを議論していきます。

 

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無茶に近いようなテーマもありましたが、みなさん終始楽しそうに議論されていて、私も思わず参加したくなるほどでした!

 

最後のテーマの時に、参加者の方一人ひとりにしおりをお渡ししました。

しおりには、最後に選んだ一節を書き込むスペースがあります。

最後のテーマを話し終えたあと、しおりを挟んでお互いに本を交換してもらいました。

 

家に眠っていた本に新しい価値が生まれた瞬間です。

 

このあと、先生のお話が続きます。

 

「現代は消費自体が大量消費の指向から変わった。それでもまだ、安く大量にものを作ろうとするメーカーもある。

じゃあデザインは何をしているかというと、マーケットに対するデザインをしている。

マーケットに対するデザインとは、仮想ターゲットを仕立て、その仮想ターゲットのためにものを作っていた。

 

でも今は、本当にいるのかわからない人に向けて作るのではなくて、小ロットでも欲しいと思っている人に届ける。

もしくは、その人たちが知らないのであればその人たちに届ける。だから顔が見えるものづくりをしようとしている。

今デザイナーは物のことだけでなくて、コトを作る傾向にある。

そしてよくできたデザインは仕事作りをデザインするっていうところまで、きています。

 

今はデザインのことを

『作り方を振り返って、問題を発見して、解決すること』として呼んでいます。だから優れたデザインは、課題発見と、課題解決、そしてそれに対してのデザイン能力がある、ということ。

 

社会を翻訳するデザインとは、社会にある問題を抱えている部分を見つけピックアップし、それを解決すること。

 

デザインはそもそも、見えないものを可視化する能力があると言われていましたが、最近では言葉に対するステージが一つアップしていると言われていて、単にイメージを伝えるだけではなくて、それをわかりやすく理解させるということもデザインに含まれると言われている時代です。

 

デザイン的視点、デザイン的解釈を持てば、捨てられようとしている本も、大切なものに変わっていく。

 

デザインという言葉が多様化しているように、解釈もそれぞれが行えばいいものだと思ってください。なにかをやりたい、なにかを前に進めたいと思った時に、デザインという言葉が入ってきて、いつもと違う風に考えてみようと思ってもらえたらいいかなと思います。」

 

この日は先生のお話を聞きながら考えるところも多く、とても勉強になりました。

 

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参加者の方も熱心にメモを取っておられました。

 

 

参加者の方にとって、デザインという言葉への考えが少しでも明確になれば、こんなに嬉しいことはありません。

 

服部先生、ありがとうございました!